お仕事の内容や肩書きを教えてください。

アートディレクター / アーティスト
広告のアートディレクションからデザイン、ブランディング、アート制作。


ステッドラーの鉛筆を使って作り出したもの・生まれることはなんですか?

過去にステッドラーさんのブランディングで父親の顔と花束を描きました。
実制作では約半年間週末を使って絵を描きました。



ステッドラーの鉛筆は他社のものに比べて硬質で繊細です。
鉛筆の先端を綺麗に削れば細かく描くこともでき、
鉛筆を寝かして描けば柔らかい表情を生み出せます。
芯の濃さや硬さも幅広く選べることができるため、
描く対象の表情や質感を、緻密に自在に描くのに適しています。



父親の顔や花束を描いた初期段階では2Bから6Bまでを使用し、
大きな濃淡を捉えました。中盤ではHBからBを使用し細かいディテールを描きました。
そして最終的にはHから6Hを使用して肌や花びらの質感を描いています。
鉛筆の幅を活かして使用する事で、濃淡の色数が無限に広がるため、
よりリアルな質感を追い込むことが可能です。
最終的には写真よりも濃淡の深みを表現でき、手で描いた熱量も注がれるため、
写真を超える魅力的な作品に仕上がったと思います。



最近では海外に発表するためのレリーフ作品にもステッドラーの鉛筆を使用しました。
レリーフに表現されているメッセージと同じメッセージが
違うデザインで立体的に描かれています。
平面にしてみるとステッドラーで描いた文字が浮かび上がってきますが、
光を当てて斜めにすると立体の文字が見えてくることで、
どちらが本物なのかを自分自身に問う作品を作りました。
発表の三日後にニューヨーク在住の方に売れました。
ステッドラーの力を改めて実感しました。



ステッドラーを使っている理由があれば教えてください。

Q2でお答えしたように、当然鉛筆としての使いやすさや表現力の強さが
使っている理由になりますが、実は父が昔から愛用していたこともあり、
物心がついた時には既にステッドラーを使っていたので、
本物の鉛筆イコールステッドラーという印象しかありません。
見た目のカッコ良さもありました(笑)。
英語のタイポグラフィのレリーフや、青と黒のカラーリングが好きです。
いずれにしても僕のクリエーティブの人生にとって、
ステッドラーの鉛筆は今までもこれからもなくてはならない存在だと思っています。

 

八木秀人

2018年6月 Hand Inc. 設立
多摩美術大学卒業後、マッキャンエリクソンに入社し、
広告代理店でのキャリアーをスタートした。
マッキャンエリクソン時代には、グローバルクライアントであるマイクロソフト、
ジョンソン&ジョンソン、パナソニック等を担当した。
2006年電通入社後にはアートディレクター、グラフィックデザイナーとして
仕事の領域を広げ、ユニクロ、Honda、富士フィルム、キリン、ネスカフェ等の
クライアントを担当した。 
現在は、企業ブランディングからロゴマークの制作、TVCMの企画まで、
更に仕事の領域を広げている。
主な受賞歴
東京ADC賞 2009, 2012
ニューヨークADC ゴールド2018


 
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